リスクマネジャとは
背景
これまで、社会的な安全・安心を図るため、労働や食品にかかわる安全衛生管理や公害防止など個別分野ごとの
資格認定制度が設けられ、最近ではそれらの分野も含め、品質、環境管理等の国際認証規格(ISO)も普及してきました。
しかし今日、マスコミで連日のように報道される、企業・組織をめぐる不祥事や、大企業を含めた栄枯盛衰は、
そうした個別分野ごとの対応では対処しきれない複雑な構図や広がりを見せています。
こうしたなか、企業・組織の社会的に要求される責任の水準も厳しくなり、持続的に存続し、成長していくためには
環境変化に速やかに対応し、企業・組織をめぐる複雑な状況を俯瞰的に把握し、実践的な解決の道筋をつけてリスクに対応できる
「リスクマネジャ」の養成が社会的に求められています。
米国などでは企業がリスクマネジャを設置する動きが広がっており、またリスク管理者資格制度も存在しており
環境リスク管理の強化が進んでいます。他方、日本の現状は企業と組織の環境リスク管理の意識は高まっているがリスクマネジャの
設置は一部の企業にとどまり、人材、組織化が不十分です。
そこでリスク管理の知識と技能をもつ人材の育成・供給を図るため、大阪大学大学院工学研究科環境・エネルギー工学
専攻は、2004年10月より「環境リスク管理のための人材養成」プログラム(文部科学省科学技術振興調整費新興分野人材育成プログラム)を
発足しました。
このプログラムは、日本リスク研究学会から
リスクマネジャ養成プログラムとして認定されており、
平成20年11月現在、課程を修了した67名のリスクマネジャが日本リスク研究学会に登録されています。
リスクマネジャ像
- 企業・組織の抱えるリスクを見つけ出し、評価する(リスク評価)。
- リスクが覆っている企業・組織と関係する個人の、それぞれ異なる立場の間の対話を通して共通の理解と問題解決を促す
(リスクコミュニケーション)。
- 存在するリスクに関する制度に通じ、便益分析やマネジメントシステムを理解したうえでリスク評価やリスクコミュニケーションを支援して
全体をマネジメントする(リスクマネジメント)。
大きく分けて以上3つの役割があり、その知識・能力は重なり合いながらも、リスクマネジャの資質や関心に従い、
それぞれに分担し合い、リスク管理におけるトライアングルを形成します。